離れた場所で働くチームのコミュニケーション

ソニックガーデンの倉貫さんのブログのエントリに
離れた場所で働くチームの作り方
というものがありました。


離れた場所で働いていたのは日本人ですが、働く場所が異なる状況でチームとして仕事をする上で参考になることがたくさん書かれてあったので、紹介と自分の意見を記していきたいと思います。


#この記事以外も、倉貫さんのソフトウェア開発に対する考えはとても興味深いです。


記事の中では、ステークホルダーや開発者がどのようなツールを活用して仕事をしているかが紹介されていました。
わたしは、離れた場所で働く場合に重要になるもののひとつは、コミュニケーションだと思っているのですが、紹介されているコミュニケーションツールやその使い方は、その点を非常に考慮された結果になっているように感じました。


日頃の社内の雰囲気や会話が伝わるように、常時接続されているSkype
これはいつでも話しかけられたり、話しかけたいときに使われているようです。


大げさなテレビ会議システムだと、設備の予約や準備が必要で、電話でも「電話を掛ける」というのは「気軽に話しかける」とは違った感覚的な壁があります。
常時接続のSkypeなら、離れていても隣で一緒に働いているのに近いコミュニケーションが取りやすくなります。


電話やメールじゃだめなの?とか考えてしまう人もいるかもしれないですが、
一見ささいな違いなように聞こえて、「常時接続」と「電話を掛ける/メールを送る」ではコミュニケーションの効果に大きな差があると思います。
話しかける気軽さとでも言ったものでしょうか。



次に、youRoomというツールですが、Skypeで話しかける雰囲気じゃないけど
話しておきたい、回答がほしいときなどに使われているようでした。
Skypeで相手側の状況がわかるからこそ、いまは話しかける時じゃないなというのがわかります。
ただ、それでもあとでキチンとお話して結果を残しておきたい場合などに使うようです。
記事でも説明してますが、メールよりも手軽で、複数人でのコミュニケーションに向いているみたいです。

わたしも個人的に漠然とですが、「メールで仕事するのは前時代的なのかな」と感じているのでyouRoomのようなツールが社内やお客さんと共通で使えたらいいなぁと思っています。


そして、仕事はチケット駆動開発で進めるためのツール(Pivotal Tracker)を使っていました。
似たようなツールは、わたしも自分のプロジェクトで試しに使っているのですが、お互いの作業の見える化にもなるし、無駄な作業や誤解が減るように思います。



このように、コミュニケーションの性質や特性に合わせて、適切なツールを使い分け、いかに離れているという制約をハンデにしないかがとても考慮されている仕組みだなと思いました。


ただ、いくらいい仕組みが用意されていても、仕組み以外にも気を配らないといけないことがあります。


無意識にやっていたことでしたが、記事を読んで「なるほど」と思った仕組み以外にも大切なことは、「チームの信頼関係は事前に築いておく」ということです。


ソニックガーデンでは、リモートで働いている人を外部リソースとは捉えておらず、
チームの一員として共に働いている感覚でいると述べられています。


オフショアの開発でも、わたしは海外のメンバをただの外部リソースとは扱っていません。
同じプロジェクトのチームの一員として、たとえ3、4年でどこかにいなくなってしまう現実が
あっても、相手を信頼し共に成長しながらプロジェクトを成功させようと行動しています。


コミュニケーションの中で、送り手から受け手に正確に情報や考えが伝わるメカニズムがあるのですが、
そのコミュニケーションの第1ステップとして「相手の背景・価値観の理解」が必要です。
おなじ日本人同士ならまだしも、オフショア開発では国も文化も世代も異なる相手と一緒に仕事をするので、
背景・価値観の理解は本当に重要だとつくづく感じます。


ソニックガーデンでは、離れたメンバと食事を一緒にとるということもやっていたのですが、
やはり背景・価値観の理解をするのは仕事上のコミュニケーションだけでは難しいことが
考慮された結果だと思われます。


オンもオフもコミュニケーションを取って初めて、その人の人となりが理解できるのではないでしょうか。
オフショアだと休み時間も合わないため、オフを一緒に過ごすのは出張以外だと難しいのですが、テレビ会議のちょっと空いた時間に仕事と関係ない話を無理やりでもするように心掛けています。
実際に仕事とは関係なくても、このコミュニケーションの積み重ねが相互の理解と信頼を築くことに繋がると信じています。


ソニックガーデンの人たちの取り組みを知り、改めてまだまだ自分の置かれている環境はコミュニケーションに改善の余地があることに気付くことができました。
同じ仕組みの実現は難しくとも、重要な要素を意識してオフショア先のメンバを
コミュニケーションを取って行きたいと思います。